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パソコンが僕の人生を変えた(2)

(59)年賀状(心の贈答)
国文学者の池田弥三郎さんが富山県魚津市の大学に勤めていた頃、東京にいる友人の文芸評論家、山本健吉さんに手紙を書いた。

文面はただ一行、「ブリさし、イカさし、さしすせそ」

こちらの魚はうまいぞ、一緒に飲みたいね、という池田さんの心を読み取った山本さんの返信も、

ただ一行、「タラちり、フグちり、ちりぬるを」。

こちらにもうまいものがあるよ、合いたいね、と英文学者の外山滋比古(しげひこ)さんが、「ユーモアのレッスン」(中央公論)に、「心にくいそう相聞」として紹介している。
「時間がなかったので、長文になりました」と書簡に書いたのは哲学者のパスカルだが、なるほど、便りは長さではない。
短い文面で心の通い合う友は、燗酒や鍋料理よりもあたたかいだろう。
せめて年に一度、年賀状のやりとりぐらいはご両人の心の贈答をまねてみたいものだと、しみじみ思う。

冬の夜は長い。
いまごろの時期から、昔なじみの友達の顔をひとりひとり思い浮かべ筆をとれば、短い言葉の中にも心のこもった相聞の年賀状が書けるかもしれない。
わが身を顧みれば言うはやすくで、まだ書いてない。
不義理の年越しにならないようにしたい。

汗かき、義理かき、かきくけこ・・・。

読売新聞「編集手帳」から





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