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パソコンが僕の人生を変えた(2)

(44)サガンとその時代
フランソワーズ・サガンが亡くなった。享年69歳。
デビュー作「悲しみよこんにちは」はフランス本国だけでなく、世界中で翻訳され、約500万部という驚異的なベストセラーとなった。日本でも例外ではない。
日本でのサガン人気は世界的に見ても突出したものだった。
その原因のひとつは、天才少女の神話である。

「悲しみよこんにちは」の成功を、サガンの十八歳という年齢と切り離すことはできない。小説の主人公セシルも作者とほぼ同年齢、思春期の少女特有の残酷さから、父親の婚約者を死においやる。
その無垢と残酷、天使と悪魔の同居する少女像のなんと魅力的なことか。セシルと天才少女サガンが愛読者からほとんど同一視されたのも無理はない。
数年後に公開されたアメリカ映画「悲しみよこんにちは」が、このセシル=サガン神話をさらに、強化する。ヒロインを演じたジーン・セバークがじつに素晴らしく、少女と少年の中間をゆく両性具有的な魅力を発散した。
セシルカットと呼ばれた少年のようなショートカットは、女らしい美しさという囚われた女性たちに、すがすがしい開放感を与えたことだろう。

サガン〜セシル〜セバークというイメージの連鎖は、サガンを、単なる流行作家であることを越えて、時代のカリスマにした。
こうしたイメージは、しばしば新聞・雑誌が報道するサガンの私生活の奔放さによって、さらにスキャンダラスに、逆にいえば、ますます輝かしいものとなった。
フェラーリを始とする高級スポーツカーを裸足で乗りまわし、大きな交通事故を引き起こすが、男優のジェームス・ディーンや赤木圭一郎とつながる。

だが、サガンの優雅な残酷さの魅力も、あまりに殺伐とした21世紀には、もはや適用しないものになりつつあった。
日本でも、彼女の死を機にサガンコーナーを設けた書店などはほとんどなかった。その意味では、サガンほどの人気作家といえども、過ぎ去った一時代のシンボルでしかなかった。

2004.10.24 合掌





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